バウハウス創設100周年を記念して、建築家の視点から、地方都市のデザインのあり方などを見つめなおす展覧会を企画しました。

1919年、ドイツのヴァイマールに設立されたバウハウスは、建築、デザイン、美術を総合的に教育する学校として、その後、デッサウ、ベルリンと拠点を移しながらも、1933年に閉校されるまで近代社会に大きな思想的、実践的影響を与え続けました。14年という短い存在期間にも拘らず、工業化社会における合理主義、機能主義的な考え方を基に、新しい時代の都市、建築、家具および日用品に至る領域で、近代的な「美」を追求した活動は今も輝きを失っていません。

一方、バウハウスの時代から半世紀後の1972年、旭川に設立された東海大学工芸短期大学は、5年後、4年制の北海道東海大学芸術工学部に改組、2008年には東海大学芸術工学部へと改編されつつ2014年の閉校に至るまでの42年間、建築とデザインの世界に多くの人材を輩出してきました。開設当時は「芸術工学」を冠する我が国唯一の私学として、以後、革新的な教育を実践してきた旭川キャンパス、そのモデルとなったのがバウハウスでした。

そして今、旭川市ではデザイン系学部を擁する公立大学の設置構想が進んでいます。東海大学旭川キャンパスの閉校を受け、家具業界など地元産業界からモノづくりに携わる人材育成の高等教育機関を新たに必要とする声が高まった結果です。急速に進む技術革新がもたらす産業構造の変化、少子高齢化や若年層の地元離れといった社会変動が進む中、新たなデザイン教育の姿が問われています。

この度の展覧会では、内外の歴史を今一度振り返りながら、これからのモノづくり教育の姿を展望します。