1956年(昭和31年)に建設された築64年の醸造所倉庫(醤油製品工場)が使われなくなってから長い時間が経過していましたが、6月27日、複合施設(soho、Café、酒販売店舗)として生まれ変わりました。 この建物は、現在の橋本川島コーポレーション会長の祖父が『川島醸造』の倉庫として建設(工場を含め十数棟建設)した現存する最後の1棟で、創業時の共同経営者のひ孫に当たるクライアントが祖父より受け継ぎました。「先代が残してくれた場所を、旭川の地域・商圏のためにもう一度活用したい」という相談を受けたのが2年ほど前。一見、古くて汚れた倉庫の使い道はほとんどなく、解体するしかないと周りからも言われていたようでしたが、先人の大工技術が詰まった木造建築は、64年の時を刻んできた今でも、周辺環境を含めたポテンシャルの高さを感じ、減築、保存・再生の道を提案。クライアントの理解・決断によりこのリノベーションが実現しました。完成後には内覧会を開催し、若い人たちに多く集まっていただき、古いものを使い続ける大切さや、新旧素材や技術が織りなす空間の居心地の良さ、リノベーションに対する可能性など、様々な反響があったことは大きな収穫でした。今後、人口減に苦しむ地方都市が、魅力あるコミュニティの新しい形成を発信することで、少しでも都市から地方への人の流れ(若者のUターン・Iターン)をつくる可能性に期待しています。
2020.07
Timber structure
498.5㎡
Asahikawa.Japan