閉じて開く家

敷地は旭川市の中心部に位置し、市民憩いの場である常磐公園に隣接しています。以前、50メートルの近隣にRC造3階建ての住宅(常磐公園を望む家)を手掛けたことがありますが、緑がとても豊かで近隣には旭川市のシンボル旭橋、北海道立旭川美術館や市立図書館、公会堂などが建つ文化ゾーンが形成されていて、常磐の杜を中心に賑わいの中にも落ち着いた環境に包まれています。敷地の形状は三角形と変則で、面積も40坪と旭川市の宅地面積としては比較的小さい。南側は幹線道路や常磐公園へのアプローチの道路が4本集まり、車輛や人通りも多く外からの視線が気になります。計画に先立ち、この見る・見られる環境を柔らかく受け止めながら充実した内部空間の構成をテーマに掲げました。冬の厳しい北国の自然環境の中で、貴重な太陽エネルギーを最大限に取り入れることで省エネルギーに役立てます。南面に大きく開くためスチール製ルーバーを設置(閉じる)、開口部のラインと視線に配慮することで見る見られる関係を和らげ大きな開口部を確保しました。夏季は広葉樹の葉やアイビーなどの緑により視線と日差しを遮ります。このスチール製ルーバーは、自然環境及び室内環境のバランスを計るためのレイヤーとしてとても重要な役割を果たしています。